トランプ米大統領は3日、メキシコとカナダに課すと表明していた関税について、発動を1カ月猶予する方針を自身のSNSに投稿した。関税の発動は4日午前0時1分(日本時間4日午後2時1分)に迫っていたが、土壇場で回避される。トランプ氏が両国首脳と直接協議し、国境対策の強化などで合意した。
トランプ氏はまた、残る中国とも24時間以内に協議する可能性があると記者団に語った。対中追加関税の発動も4日午前0時1分に迫っており、事態はなお緊迫している。
ホワイトハウスは3日夜、メキシコとカナダに対する関税の実行は3月4日午前0時1分まで停止すると正式に発表した。
トランプ氏は3日の投稿で、同日朝にメキシコのシェインバウム大統領と協議し、メキシコ側が米国との国境に1万人の兵士を送ることで合意したと明らかにした。兵士は、合成麻薬フェンタニルが米国側に渡ることなどを阻むために配置されるという。
トランプ氏は、シェインバウム氏との話し合いについて「非常に友好的な会話だった」と評価した。関税発動が停止される今後1カ月の間に、両国の閣僚級で協議を続けていくとした。
シェインバウム氏も3日、自身のX(旧ツイッター)に同様の趣旨の投稿をした。米側の関税発動がいったん止まることを受け、メキシコ側が課すとしていた報復関税についても「1カ月停止する」ことを明らかにした。
トランプ氏はまた、カナダのトルドー首相とも3日に複数回、電話で協議した。トルドー氏は3日夕、「提案されている関税は、少なくとも30日は停止される」とXに投稿した。トルドー氏は、国境対策に13億カナダドルを投じると表明。フェンタニル対策の責任者を任命するほか、国境を24時間体制で監視するなどの追加対策を講じることで、トランプ氏と合意したという。
トランプ氏は1日、合成麻薬や不法移民の米国への流入を問題視し、メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を、中国からの輸入品には10%の関税を上乗せする大統領令に署名。カナダとメキシコは反発し、即座に報復関税をかける方針を表明した。中国も対抗措置を取る構えをみせていた。